「価格」に勝るキャチコピーはない

価格とは、実は製造元が一方的に決めているものです。それを流通に卸したり、販売元に卸したりする際に設定されるのが「仕切り価格」といわれるものです。製造品には必ず「原価」があり、それに上乗せする「利益」があります。その上でメーカーは流通や小売店に卸すのですから、その時点からさらに価格が上乗せされるのです。実際にエンドユーザーに販売する小売店にとってみれば、仕切り価格が原価です。そこからどれだけの利益を上乗せするのか、ということがビジネスのポイントです。「薄利多売」という言葉をご存知だと思います。利益を少なくして価格を安くし、その分沢山販売して「利益額」を稼ごうというものです。実は、この手法は大手の販売店であればすでに実践していることです。ショップにとっては、流通を介さずメーカーから直接仕入れた方が安く販売出来ます。上乗せされている「利益分」が少ないからです。ですが、大手チェーン店でもない限り、メーカーとの直接取引は難しいものです。
ここまではビジネスのバックオフィスの部分のお話です。ですが、そのようにして決められた「価格」は、エンドユーザーにとっては一番関心のあることなのです。人が毎月稼げるお金というのは限られています。その限られた資本をやりくりして生活しているのが私たちです。手取りの月収が20万円だとすれば、2万円のスーツを買えばそれは月収の1割に相当します。10着購入すれば月収は全てなくなります。そう考えると、いくら給料をもらっても足りないような気がしてくるものです。それは誰もが思っています。実は、生活にゆとりがあると感じている方などはごくわずかです。手取りの給与に10万円の差があったとしても、それなりに工面して生活しています。ですから、「経済感」というものはある程度の社会人であればほとんど変わらないのです。
ですから、あなた自身が感じている日本の「景気」は、他の誰もが感じていることなのです。ですから「高い」とか「安い」という感覚は、あなたの感覚で構いません。そう、そのラインとショップの限界、つまり仕切り価格を考えると、なかなか思い切った値下げをし辛いものです。ですが、こう考えてみては如何でしょうか。「会員登録」をすることを前提に赤字覚悟で購入してもらい、その情報に対して定期的にダイレクトメールを送るというものです。低価格で販売するのはショップをしってもらうため、情報を発信するためのきっかけとするため、と割り切って、ダイレクトメールで継続的にアプローチし、そのコストを回収していくというものです。「価格」ほど人を引き寄せる広告はありません。必ず効果があるその「価格」を利用して、販促をするための土壌を作るのです。「価格」の限界とは、コストをかけることでもあります。同規模のショップであれば必ず同じような状況です。もし他店があり得ない価格を打ち出した場合は、おわかりでしょうが「赤」です。ですが、ただ赤字なだけではないということでしょう。